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【中部大学】皮膚がんに特徴的な遺伝子発現を制御するスイッチを発見

2019/11/15

 中部大学の10月18日付ホームページによると、同大学生命健康科学部生命医科学科の古川圭子教授と竹内理香助手(現・関西学院大学理工学部生命科学科助手)らは、皮膚などにできるがんの一種「メラノーマ(悪性黒色腫)」の細胞膜表面に現れる「酸性スフィンゴ糖脂質(GD3)」とその合成酵素遺伝子の「GD3合成酵素遺伝子(GD3 syn. mRNA)」を、正常細胞の「メラノサイト」に発生させたり抑制させたりするスイッチを初めて発見した。

 皮膚の表皮は、主に「ケラチノサイト」という細胞で構成されている。基底層にはメラノサイトが点在し、紫外線を遮る色素「メラニン」を生合成。皮膚に紫外線が当たると、ケラチノサイトから様々な物質が生み出される。その1つが「メラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)」で、これがメラノサイトに作用するとメラニンが生合成され、ケラチノサイトに分配される。その結果、ケラチノサイトではメラニンが紫外線によるDNAの損傷を防ぐ。しかし、ケラチノサイトからはα-MSH以外に「炎症性サイトカインの1つ、TNFα」も分泌され、皮膚の炎症反応を引き起こす。持続的な炎症反応(慢性炎症)は発がんの誘因になるが、過度の紫外線暴露によりTNFαの刺激が優勢になると発現する遺伝子“GD3 syn. mRNA”をモニタリングすれば細胞の前がん状態をキャッチできる可能性があり、がん予防に繋げることが期待できるという。今回の成果は英科学誌Scientific Reports(電子版)に掲載された。

 (中部大学HP:https://www3.chubu.ac.jp/research/news/25478/)

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